錠剤タイプと塗るタイプのラミシール

水虫治療薬のイトリゾールについて

水虫は白癬菌という真菌(カビ)の一種が感染して起こる感染症です。
白癬菌は通常の環境下によく存在しますが、湿気のたまりやすい環境下で足や手に感染してしまいます。
この足や手に起こった水虫を長期間放置してしまうことで、より深部にも感染が拡大してしまうことがあります。
これを深在性白癬といいます。

手足の表面に起こった水虫の場合には外用薬で治療できますが、深在性白癬の場合には外用薬では効果が現れにくく、内服薬の使用が必要となります。
深在性白癬の治療に用いる内服薬の代表例がイトリゾールです。
イトリゾールは真菌の細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害することによって真菌感染症の治療に有効性を示します。

細胞膜は主に脂質で構成されています。
人の細胞の場合は細胞膜の主要構成成分の一つにコレステロールが挙げられます。
真菌の細胞膜ではこのコレステロールの変わりにエルゴステロールが細胞膜の構成成分となっています。

つまり、エルゴステロールは人の細胞膜には存在せず真菌の細胞膜にのみ存在します。
イトリゾールはエルゴステロールの合成を阻害しますが、コレステロールの合成は阻害しません。
つまり、イトリゾールは人の細胞には作用することなく、真菌の細胞にのみ選択的に作用するのです。

こういった理由からイトリゾールは人の体には影響を及ぼしにくく、副作用は起こりにくい薬です。
そんな中で起こりやすい副作用をあえて挙げるとすれば、肝機能異常が起こることがあります。
実際にイトリゾールを服用することで血液検査で肝機能マーカーの異常を起こす例が報告されています。

ただ、イトリゾールを服用する上では併用薬に注意が必要です。
イトリゾールは肝臓に存在する主要薬物代謝酵素であるCYP3A4で代謝されます。
このCYP3A4で代謝される他の薬と併用すると、両者の代謝が遅延して、体内に有効成分が長くとどまることとなり、非併用時と比較して副作用が起こりやすくなる恐れがあります。

補足情報

イトリゾールの情報は外部サイトでも詳しく掲載されているのでご覧ください。
イトラコナゾールの効果作用について

イトリゾール服用の際行われるパルス療法とは?

イトリゾールを深在性の白癬に使用する場合にはパルス療法という飲み方をすることがあります。
深在性の白癬の場合には、飲み薬でも治療期間が長期に及ぶことが多いです。
イトリゾールは比較的副作用が起こりにくい薬とはいえ、長期間服用するとなると副作用により注意が必要となります。

また、長期間服用することは服用する人に大きなストレスを与えてしまいます。
場合によっては服用を忘れたり中止してしまったりする場合もあります。

こういった問題を解決するのがパルス療法という飲み方です。
通常は成人の場合は白癬が治るまで1日にイトリゾールカプセル50を4カプセル服用し続けます。
しかし、パルス療法の場合は1日にイトリゾールカプセル50を8カプセル服用し、これを1週間継続します。
1週間経過後にはイトリゾールの服用を中止し、3週間薬を飲みません。
これを1クールとして、それを3クール連続して行います。

このパルス療法によって通常の服用方法よりも4週間のイトリゾールの服用量を半分に減らすことができます。
これによって副作用が起こりにくくなります。
また、服用する期間が短いため、飲み忘れや自己判断での服用の中止が起こりにくくなるのです。

ただ、イトリゾールを飲む量が少なくなると効果が弱くなるのではないかと心配になりますが、そのようなことはありません。
イトリゾールの有効成分であるイトラコナゾールは体内に蓄積しやすい性質があります。
また、1回に飲む量が多くなると、より体内に蓄積しやすくなります。

実際にパルス療法と通常の服用方法とで、体の深部のイトラコナゾールの濃度を測定、比較したところ、いずれの方法でもその濃度は同等レベルに約半年間保たれ、実際の治療効果も同等レベルであることが証明されています。